優遇税制が拡充!M&Aが節税対策になる?(令和3年税制改正)

先月末開催されました通常国会において、税制改正が決議され、中小企業の再編、具体的にはM&A を促進させるための「経営資源集約化税制」が新設されました。
なお、令和3年税制改正の当事務所によるまとめ資料はこちら
原案は、自民党と公明党による税制改正大綱(こちら)です。

概要

M&A 後の設備投資額の最大10% を法人税から控除するほか、M&A 後の一定の要件のもとで
雇用を確保した場合は給与支給総額の25%を税額控除する、M&A (合併・買収) 後に生じた想定外の損失に対応できるよう買収費用の一部を税優遇する「準備金制度」をつくる などをも認めようという制度です。
詳細は、上記でまとめた資料の9ページをご参照ください。
優遇措置を受けるために必要な手続きとしては、買収で見込める生産性向上の効果や、買収前に一定程度のデューデリジェンス(資産査定業務) に取り組むこと、買収後の雇用の安定に配慮することなどを盛り込んだ計画を策定し、政府から認められれば優遇を受けられるとされています。
具体的には令和6年(2024 年) 3月31日までの間に中小企業等経営強化法の経営力向上計画(経営資源集約化措置(仮称) が記載されたものに限る) の認定を受けることが必要となります。
現時点では対象となる設備等(経営資源集約化措置(仮称) の内容についてはまだ明らかにされていないのですが、計画に記載する生産性向上につながる設備等が対象となります。
M&A (合併・買収) 後に生じた想定外の損失に対応できるよう買収費用の一部を優遇する「準備金制度」について詳しく説明すると、上述の認定に係る経営力向上計画に従って他の法人の株式等の取得(購入による取得に限る) をし、かつ、取得の日を含む事業年度終了の日まで引き続き保有している場合(株式等の取得価額が10 億円を超える場合を除く) が対象となります。
例えばM&Aで株式を1 億円で取得した株式を継続保有した場合には、株式等の取得価額の70%以下の金額を中小企業事業再編投資損失準備金として積み立てることが可能で1億円の70%に当たる7,000 万円を中小企業事業再編投資損失準備金として積立、その事業年度に損金算入できます。
また積み立てた7000 万円は5年間の据置期間経過から、5年間で1400 万円(7000 万円÷5年) ずつ均等に取り崩し、益金算入していきます。また途中で実際に損失が発生した場合は先行して取り崩すことになります。
取得した株式等の全部又は一部を保有しなくなった場合もその経過した準備金残高の均等額を取り崩すことと
なります。
今年は大きな収益が上がったのでM&A で事業買収を行おうか・・節税効果もあるし・・などというケースも考えられるのではないでしょうか?

M&Aの効果を高める設備投資減税D類型とは?

中小企業経営強化税制(即時償却又は税額控除(最大10%)) の対象に、これまでのA ~ C 類型に加え、M&Aの効果を高める設備として「経営資源集約化設備(D類型)」が追加されます。なお「経営資源集約化設備」とは、「計画終了年度に修正ROA又は有形固定資産回転率が一定以上上昇する経営力向上計画(経営資源集約化措置(仮称) が記載されたものに限る) を実施するために必要不可欠な設備」をいい、経済産業省資料では具体的な取組例とし
て、「自社と取得した技術を組み合わせた新製品を製造する設備投資」や「原材料の仕入れ・製品販売に係る
共通システムの導入」が示されています。

雇用を確保する場合の優遇税制

M&Aに伴って給与等支給総額を対前年比で2.5%以上引き上げた場合、所得拡大促進税制の上乗せ措置の適用により、給与等支給総額の増加額の25%を税額控除(1.5%以上の引上げの場合は15%の税額控除) できることになります。現行の所得拡大促進税制と同様の施策ですが、この場合は、上乗せ要件に必要な経営力向上計画計画の
認定が不要とされます。
上述の優遇税制に合わせ、M&A を成立させるまでの支援施策としてのこれまであった「事業承継補助金」と、
令和2 年度一次補正で創設した「経営資源引継ぎ補助金」が統合され、事業承継・引継ぎ補助金として措置、補助上限額が引き上げられました。
さらにはM&A 成立後、ポストコロナ・ウィズコロナ時代の経済社会の変化に対応するため、新分野展開や業
態転換、これらの取組を通じた規模の拡大等を目指す中小企業等に対して手厚い補助を行う事業再構築補助
金も新設(過去の記事はこちら。)されております。

これら一連の施策についてご関心のある方は、こちらより当事務所にお問い合わせください。

関連記事