コロナ関連融資このまま借りておくべきか?(借入限度額を知るための指標解説を交えて)

はじめに

今年の1月に菅総理が試作方針演説にて発表しておりましたが、コロナ関連融資の無利子融資が 4000 万円から 6000 万円と増額となりました。 (関連記事は、こちら。)
金融機関からの提案もあり、 多くの事業者の方が、 借り増しをしたのではないでしょうか?
しかし経営者の中には 「必要以上の借入れをしている」 ので、 金融機関からみたら財務上は良くないのではないか?
今後の融資を受けるためには余分だと思う金額は返済しておいたほうが良いのでは?と心配されている方もいらっしゃるようです。
先行きが心配であることと、 無利息であるなら多めに借りてはおきたいが、 果たしてどの程度にとどめておくべきか。また、 今回はアフターコロナ ・ ポストコロナなどと言われる、コロナ災禍収束の時期に向けて、 どのような財務に戻していけばいいのか。この2点について、 具体的に回答してみたいと思います。

借金はどこまでしていいのか指標を知ろう

一般的に金融機関は「債務償還年数」という指標を使って、事業者が借金をし過ぎかどうかの判断をしています。債務償還年数を簡単に説明すると、事業者の年間の手取り収入(キャッシュフローといいます) に対して、何年分の借金をしているかという数値です。
計算式は以下の通りです。

債務償還年数=有利子負債÷ (経常利益+ 減価償却費—法人税等)

直近の決算があれば簡易に計算ができます。
この計算から出た数値が10を超える、つまり借入金を完済するまでの期間が10年を超えるような借金の額は借りすぎ(これ以上融資がしにくい) というわけです。しかし、あくまでこれはコロナ前の通常時の考え方です。アフターコロナでは、この数値が緩和されるようになってきています。金融機関の平均的な目線でいうと、「15年から20年」まで
は問題ないと判断しています。さて、あなたの会社の借金はキャッシュフロー何年分に相
当するでしょうか?一度、顧問の会計事務所に債務償還年数を計算してもらうことをおすすめします。当方でも計算させていただきますので、ご入用のお客様は、こちらからご連絡お願いいたします。
(細かい話ですが、どこまでを有利子負債にするか等について、金融機関ごとに様々な計算方法がありますので、当方にご依頼いただければその計算方法についても網羅的にご解説させていただきます。)

【事例】
例えば アフターコロナで500万円の手取り収入が見込めるとしましょう。 仮に 「20年未満」までは問題ないと仮定したら 20倍の1億円の借入まではしていいということになります。コロナ関連融資を合わせて、この水準ならば問題ありません。また、コロナ関連融資を借りている場合、余裕を持って多めに借りておいたというケースが多いのではと思います。ということは、現預金も通常より多めに残っているのではないでしょうか?つまり、借金があるが預金もあるので、いざとなれば、いくらかは返せる状態が多いと思うのです。さて、この場合は有利子負債から一定の預金額を差し引いて考えてみましょう。 一定の預金額とはいくらかというと、返済にまわしても資金繰りが問題なく回る状態が継続できる預金残高です。具体的には売上の1 .5ヶ月分くらいが常に現預金にあると資
金繰りに問題がないとされます。これぐらいの現預金は残した状態で返済をしましょう。
ということはあなたの会社が借金をしすぎているかどうか(借り過ぎなら、いくら返すべきか) を計算するには、
有利子負債-(現預金-売上の1.5ヶ月分) をキャッシュフローで割って20を超えるようだと借金しすぎであるので、注意が必要だと言えます。

毎月の返済額を見越して資金の準備をしておきましょう

先ほどの計算が20 年を超えないから安心、じゃあ早速返済しようか・・・という考えは要注意です。実は、多くの企業は毎月の返済が大きくて3ヶ月から6ヶ月後には現預金が不足してしまう状況にあります。ですからまた借金をして返済に充当している状態。これは「金繰り償還」(かなぐりしょうかん) と呼ばれます。こうした状況の企業がとても多いのです。 おそらく、この記事をご覧いただいている企業様の中でも、この状態にある企業様は多数いらっしゃると思います。月商の1. 5ヶ月分の預金残が維持できるかどうかは6ヶ月先までの資金繰りを見通して判断するべきです。つまり、借入をしなくても6ヶ月後も現預金残高が1. 5ヶ月分あるような状況であれば、それを上回る分の預金残は返済に回すことも検討しても良いと考えます。それで、債務償還年数の計算が20を超えないように返済ができればベストです。

その他の「借入しすぎかどうか」の指標

債務償還年数は少し専門的すぎるから難しい。キャッシュフローがマイナスなので、計算ができないなどの事業者様の場合は、もっとわかりやすい指標をお教えします。借金は月の売上の6ヶ月分までという基準です。これなら、わかりやすいですね。なぜこの基準があるのかというと、実は借金が6 ヶ月以上となる企業は「債務不履行」になる事業者が多いという実績データが金融機関にあります。これをもとに、金融機関は月の売上6ヶ月以上の融資をあまりしたくないというのが実情なのです。

建設業の方はご注意ください

建設業では公共工事の入札で、経営審査という財務診断が実施されています。財務に問題があるとされると点数が低くなり、公共工事の入札が出来なくなったりする悪影響があります。借入を増やすと総資産が増える。あるいは、自己資本比率が悪化するなど評点が下がるようなリスクもあります。建設業の方は、決算時の貸借対照表を想定しながら借入をすすめることも必要です。

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