Uber Eatsを財務で考えてみた③

前回のお話はこちら

今回お話する内容

前回のお話で今回は少し複雑なお話をすると言っておりましたが、今回の
ポイントとしては、「前回までは、単純に宅配に対応していなかったお店がUber Eatsをすべきか否か
であったのに対し、今回の話は、自前で宅配設備を揃えて対応するのとUber Eatsに加入するのではどちらが有利か?」
について実際の飲食店の売上や原価率の数値を用いて検証していきたいと思います。

そば・うどん店の財務

今回のお話の舞台となる飲食店は、私世代が宅配(出前)といえば真っ先に思い浮かべる、そば・うどん店でお話を
させていただきたいと思います。
ちなみに、「そば・うどん店」というのは、日本標準産業分類での正式な名称で、飲食業の中の一つのカテゴリを構成しています。
という事で、2018年における日本のそば・うどん店の財務数値の平均値はこんな感じになっています。


一社あたりの平均売上高は7千7百万円、そして従業員は15人なので、そこそこ規模の大きな
フランチャイズチェーン店などが多く、また、役員報酬以外の人件費も一人あたり150万円
ほどになっているのでアルバイト従業員が多く含まれていると予想されます。

検証の前提

検証の前提は以下の通りです。
そして、この前提を実際の各お店の実状にあった条件に変更して、エクセルシートの数値を
入れ替えれば各お店ごとの検証ができます。(青字部分)

Uber Eatsとの比較

上の前提に基づいてお店全体の損益から宅配部分の損益を試算してみると、下表のように
4,760千円ほどの利益が出ていると分かります。
一方で、Uber Eatsを導入した場合だと、Uber Eatsの手数料が売上の35%、そして初期費用が
5万円なので、その横のような数字になり、4,067千円の利益が出ている計算になります。
という事で、この前提のもとでは、Uber Eatsを導入するより自前で設備を揃えて宅配にした方が
利益は上がる計算になります。

結果の考察(感度分析)

結果としてUber Eatsを導入する方が不利になりましたが、この要因として最も大きいのが、
今回の前提だと、宅配での売上の比率が15%と比較的大きかったため、バイクや人件費の
固定的に発生する費用よりも利益の方が上回る結果となったことが最大のポイントとなったと
考えられます。
実際に宅配の比率を3%にした場合、Uber Eatsの方が有利になる結果になりました。
また、Uber Eatsを導入することによる宣伝効果での売上増を5%として計算しましたが、
お店によっては5%にとどまらずもっと増える可能性もあります。
もしこの売上増加が25%になった場合、Uber Eatsを利用した方が有利なる結果となります。
このように、前提条件を変化させてこれが最終の結果に与える影響を分析することを
「感度分析」といい、M&Aの価格決定の際に多用される分析手法です。
感度分析に使うエクセルの便利な機能についてはまたどこかで紹介させていただきたいと思います。

もし今回使用したエクセルシートをご希望される方は問合せページよりご連絡ください。

余談ですが・・・

このお話の第一回のところでお伝えしているように、ウーバーは、Uber Technologies Incという
アメリカの会社が運営しています。
そして、恐らくアメリカのコンピュータシステムをそのまま日本でも導入しているのだと思いますが、
なんと計算書の金額が小数点以下2桁まで計算されています。(2020年9月現在)
そして、合計を合わせるために締め日に送られてくる合計の計算書で調整項目が作られるという作りになっています。
例を挙げると、1,250円の注文をした場合、消費税125円、手数料が1,250円の35%で437.5円手数料に
かかる消費税が43.75円という表示になっています。
そしてこれが合計されて締め日に送られてくる計算書でこの0.5円と0.75円が調整されることになります。
恐らく、ドル以下のセントが小数点以下2位まであるのでそのシステムをそのまま使ってるんだと思われます。
なので、これまたどこかで紹介したいと思っている会計ソフトへのファイル取り込みで記帳する際には
ひと手間必要になってきます。

関連記事