会社を第三者に譲る場合の留意点②

前回(リンクはこちら)に引き続き、会社を第三者に譲る場合の留意点についてお伝えいたします。

■ 役員退職金支給は最大に

事業承継を株式譲渡で行う大きなメリットは、 分離課税という仕組みによりどんなに譲渡価額が高くても約 20%の税金だけで一気に現金化できること、
そして大きな税務メリットの大きな退職金を受け取ることができることであるといえます。
退職所得は控除額があり、給与など他の所得と分離して計算される分離課税で、 課税所得も2分の1になるため税額が抑えられます。
この優遇された退職金の税制をフルに活用しない手はありません。
といっても、 退職金は一定額を超えると、 株式譲渡の税率を上回ってしまいます。
株式譲渡と退職金を最適に組み合わせることが、 会社に蓄積した留保利益を最も効果的に現金化する方法であるといえます。

■ その他の資産も上手に移転する

また、 中小企業経営では、 法人と個人を明確に区分している経営者は少なく、 実態として社用車をマイカーとして使っていたり、
生命保険も経費性のある法人契約を中心としていたりします。
「事業を売ってしまうと車がなくなる」「個人の医療保険、 生命保険もほとんどない」となるわけです。
一方で、 買い手側企業にとっても先代経営者個人に紐づく資産は譲受後、 必要がありません。
そこで、 こういう場合は車両を退職金の一部として現物給付する、 保険契約は解約せず個人へ名義書換をする
(ただし、解約返戻金額で譲渡するか、 退職金として給付するかを検討)ことで、 売り手側は経済的なメリットが得られます。
また、 経営者個人の土地の上に、 法人の建物が建っていることもよくあります。
買い手企業にとっては安定した事業運営のために、 通常は当該不動産の買取りを希望するでしょう。
株式譲渡にあわせて、 不動産価額の交渉も行うことになります。事業用不動産の譲渡に際しては、 当然譲渡所得の税金が発生します。
顧問の会計事務所等と連携して、 税効果の高い組合せ、 つまり役員退職金と株式譲渡、
そして保有資産の譲渡価額のベストミックスを選択することが、 中小企業の M&A の売り手側にとって最も安心できるリタイアメントプランニングといえます。

■ 年金受給のシミュレーション

第三者に譲渡することを考えるときには、 リタイアしたあとの生活設計も行ってみましょう。
年金給付のみで生計が成り立つのか ・ ・ そうでない場合は受給した退職金など資産をどの様に消費していくのかも大事な事業承継の検討事項です。
親族内承継ならば、 会長職などで継続的に報酬がもらえるケースも想定できますが、
第三者となるとそこは会社からの収入が絶たれる (いろいろな経費も使えなくなる) という覚悟も必要です。
いずれにしてもふと 「第三者に相談を ・ ・ 」 と思ったときにはまずは経験豊富な税理士などの専門家へ相談するようにしましょう。

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